無口な担当医は、彼女だけを離さない。
でもやっぱりこの学科のまとめ役は最後まで山本くんだった。
私はあれからよく話すことはなかったけどこういう集まりの時には毎回助けられていた内の1人。
最近の山本くんのことは全く分からない。でも1年以上経ったし今日くらい話してもお互いいいよね。
そう思い私は空いている山本くんの隣の席に座った。
「えっ…⁈斎藤さ、なんで⁈」
「そんなに驚く?普通の会話くらいはしてたじゃん」
「そうだけど…斎藤さんはもう僕と話したくないんだと思ってた」
「何それ違うよ。告白してもらって断った分際なのに図々しく友達でいるなんて無理だっただけだよ」
分かりやすい二度見をして山本くんは目を丸くさせている。
確かにあの時の言い方だともう関わりたくないって言ってしまったも同然だったのかもしれない。
仮にも当時山本くんは私のことを好きでいてくれていたのに本当に酷い突き放し方をしてしまったと定期的に反省していた。
「なんだ…じゃあ斎藤さん、僕のことが嫌いになったわけじゃ」
「ないよ!…ごめん。あの日…言い方キツかったよ、ね。今更だけどごめんなさい」
「いやいや謝らないで…!今こうやって話せて誤解が解けただけで僕は嬉しい。それ以上なんか望んでないよ」
1年以上振りに話しても山本くんは山本くんのまま。
へへ、と笑う顔が久しぶりに見れて私まで笑顔になれた。
「ちょっとそこいちゃいちゃしない!いや今日くらいいいけどさ!」
「ねぇ日和よく見て。私達話してるだけ」
「同じだし!てかこの2人が話してるの久しぶりすぎるんだけど!よかったね山本!」
「ちょ、高橋さん。ごめん斎藤さんなんでもない」
「ほんとに言わなくていいのー?今日で卒業だよ、会えなくなるんだよ!」