無口な担当医は、彼女だけを離さない。
酔いに酔った日和が私達の会話に乱入。
そして日和は山本くんに何かを言わせたくてしょうがないらしい。
日和によると2人はこの1年の間で飲み友達として成長しその話は少しだけ聞いていた。
だから私と山本くんほどの距離は感じない。むしろ近い。
また疾風くんに怒られるぞ…と思いながらもこうなった日和は歯止めが聞かないので諦めて見守っておく。
「いや言わないから…」
「山本がそれでいいならいいけどさ、せっかく2人で話せたんだよ?1年以上振りよ?」
「…分かった。分かったから高橋さんはちょっと席外してよ」
「よし!じゃ、栞麗また後で」
「いや最後の最後まで分かんなかったんだけど…」
突然やってきて嵐のように去っていった日和。
残された私。と、なぜか眉間にしわを寄せている山本くん。
やってくれたな日和…と思っていると山本くんが話し出した。
「ごめん…いきなり意味分かんない、よね」
「うん…今のところ?」
「あれから高橋さんにはちょっとだけ話とか聞いてもらっててさ。だからあんなこと言ってきたんだろうけど…」
話し出したはいいもののどんどん声が小さくなっていく山本くんを見守ることしかできない。
この流れだと…きっと何か私に言いたいんだよね?
日和も言わなくていいのか、みたいなこと連呼してたし。
「実はあの日…斎藤さんに俺がちゃんと告白した日。今までもう忘れてます、みたいな顔してたけど無理だったんだ」
「無理…?」
「隠れてずっと好きだった。この1年以上。初めて好きになったのは1年の時だから大学の間ずっと。…こんなこと引かれると思って言えなかったけど、斎藤さんのことが今でも好き」