無口な担当医は、彼女だけを離さない。


「やだっ!」



何かに怯えたような、そんな目。


でも彼女はすぐ我に戻って何かを言いかけたがそのまま俺の方へ倒れこんできた。



「ちょっ…おい。大丈夫か?」



咄嗟に受け止めたが意識を失っていた。


俺はすぐに自分の病院の救急車の手配をし、処置をする。


案の定検査の結果は重度の喘息。そこから派生して発熱まで。なのに彼女の通院履歴はなかった。


市販の風邪薬の多量摂取で頭痛もあったはず。


そこまで酷いのになぜ病院に行かないのかこの時の俺は分からなかった。

< 70 / 308 >

この作品をシェア

pagetop