無口な担当医は、彼女だけを離さない。


でもそれがその理由が全て分かったのはその次の日。


話している時から何かおかしいとは思っていた。


常に手が震えてるし入院も拒む。最初は気にしていなかったけど、彼女は俺がいなくなった途端に泣いていた。


震えている小さな手でシーツを掴み、声を殺しながら。


のちにその事情も分かり、入院は取り消し。


最終手段でいつの間にか俺は自分の家に彼女を住まわせていた。


自分でもこんなこと初めてだからどういう感情なのか、分からない。


でも初めて彼女を見た日から、俺にとって特別な存在になっているんだと思う。

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