無口な担当医は、彼女だけを離さない。


「相手が柊さんだろうと栞麗のこと傷つけたら私が許さないからすぐに言うんだよ」

「ふ、日和怖いよ」



やっぱりいつも日和は私の味方でいてくれる。頼もしすぎるくらいに。


でも日和に言われたさっきの言葉。



『ねぇ、あんた柊さんのこと好きなの?』



いやいやいや。ないな。


ただ私は今まで柊さんのような支えになってくれる人に出会ってなかっただけ。恋愛感情ではない、はず。


それに仮にこの気持ちが恋愛感情だったとしても告白なんかしない。


振られるに決まってるし病院で気まずくなるのも嫌だし。


今はただの患者として柊さんの家に住まわせてもらってるだけ。


うん、それだけだよ。

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