「Of My Disteny」ー手、繋ごうー
まだやっぱり緊張しちゃって、近付くのは怖いけど、でも知りたいって思った。

白くんのことを知りたい。

教えてほしい。

「…いいよ、じゃあ俺から聞いていい?」

ゆっくり観覧車が上がっていく。

久しぶりに乗った観覧車はいつもより遅く感じた。

「羽実は何が好きなの?」

「え…、好きなもの?って食べ物は前答えたし、趣味とかってこと?」

「うん、好きなもの」

「えっと…」

好きなものってざっくり聞かれると何だろ、いろんなものが一気に浮かんでくるけどありすぎて何を言ったらいいかわからない。 

私の好きなもの、好きなもの…

「あ、可愛いシール集めるのが好き!」

「………。」

……あ、どうしよう。

変な空気になっちゃった。

わかりやすく、“点、点、点。”って言われてないのに言われた感じ。

「可愛いシール?集めるの?」

「うん、ついね!可愛いと買っちゃうの!」

パチクリ瞬きをする白くんには何も伝わってなさそう。

そうだよね、可愛いシール集めなんて男の子にはピンと来ないよね。

「それは何の役に立つの?」

一瞬志向が止まったかのように見えた白くんが一切濁りのない瞳で問いかけた。

「え…役に?は、特に立たないかな。手紙交換する時とかちょっと気持ち上がるかなみたいな!」

語尾を強めにしてみた。勢いで納得させられないかなって。

「そうなんだ…」

ちっとも響いてはなかったけど。

「白くんは!白くんは何が好きなの!?」

だから一刻も早く話題を変えようと思って同じように聞いてみた。

「俺は…英会話と読書かな」

すっごい役に立ちそう!!!

好きなもの英会話なんて聞いたことない!

英会話は授業でするものだと思ってた。

さすが白くん、趣味レベルも高いんだ。
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