「Of My Disteny」ー手、繋ごうー
「すごいね、英会話が好きなんだ…」

「グローバルな世の中出来て損はないからね」

シール集めなんてできても損はないかもしれないけど、これといって得もない。気分上がるぐらいじゃ弱すぎる。

「じゃあ英語の授業楽しいね」

「…楽しい?」

「うん、だって好きってことは楽しいんでしょ?」

「……。」

「…?」

あれ、なんだろう。
どうして今目を伏せたんだろう。

「楽しいと好きって同じなのかな?」

「え…、うーん…似てるかなって思うけど」

「羽実はシール集めるの楽しい?」

「楽しいよ!キラキラしてるの見つけると嬉しいし、透明なのとかぷくぷくしてるのもすぐ買っちゃうしあとは…っ」

つい話過ぎてしまったことにハッとした。
好きなものの話はいくらでもできちゃうから。

「ごめんなさい…」

「え、なんで謝るの?」

「だってこんな話楽しくないよね」

「そんなことないよ、羽実の話聞くの楽しいよ」

「…そう?」

「羽実の話は俺の知らないことだらけだから」

まっすぐ私を見ながら微笑んだ。

なんだか心がぽかぽかして、胸がきゅっとした。

優しい表情に、優しい声、私の名前を呼ぶ白くん。

「でもシールってそんな種類あるんだね、ぷくぷくってどんなの?盛り上がってるってこと?」

私の中で何かが生まれそうになる。

「シールなんて幼稚園の頃、よくできましたって書いたあれ以来見たことないから」

考え込むようにあまりに真剣な顔をして言うから、私も思わず…

「ふっ」

声が出ちゃった。

てゆーか笑っちゃった。

「ふふふっ」

「どうしたの?何笑ってるの?」

「だってシールが盛り上がってるって言うから、シールがいぇーい!って気分上げてるのかと思って!」

「そこ!?」

「そんな表現聞いたことなかったから」

私が笑ったら白くんが少しだけ頬を染めた。

でもそんな姿も可愛くって、男の子に可愛いなんてまた思っちゃった。

「羽実笑い過ぎ」

「だっておもしろかったんだもんっ」

くすくすと笑い声がゴンドラの中で響く。


男の子は苦手だった。


怖くて近付きたくなかった。


でも不思議、白くんといるとすっごく楽しい。


こんなに笑って、あったかくなる。


終わりが近付いて、地上が見えて来た。


少しだけ勇気を出してみようかな。



手、繋ごうって言ってみようかな。



私から言ってもいいかな。


そしたら白くんは…

笑って返してくれるかな?
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