「Of My Disteny」ー手、繋ごうー
「白くん、待って!白くん…っ!」

運動もできる白くん、追いつけなくて名前を呼んだ。

「あ、ごめんっ」

「あの…っ、えっと、はぁ…っ」

その場にへたんと座り込む。
急に走ったから息切れが止まらなくて肩を上下に動かして息をして必死に整えた。

「は、白くん…さっきの」

「あ、あれは中学の時の」

「何?」

「…ただのクラスメイトだよ。それより次はどうする?どこ行く?羽実は何かしたいこととかー…あ、俺はねぇチュロス食べたいなって」

一切の間を作らず一気に白くんが埋めるように話し出した、話題を変えるように、触れてほしくないように。

“社長の息子のくせに”
 
聞いてほしくないんだと思った。
でもそれはどうしてもそのままにはできなかった。

「白くんのお父さん、社長さんなの?」

見上げた白くんの顔色が変わった。
 
ずっと引っかかてった。

どうしてあの時、白くんは“しなくていいよ”って言ったのか。

気になって、ずっとずっと考えてた。

「白くっ」

「そんなことより!」

「…っ」

一瞬の大声にびっくりした。

でもすぐに微笑んで笑顔を作り直した。

「どこ行く?アトラクション乗る?それとも…」

白くんは私と話したくないんだ。

私とその話はしたくないんだね。

あ、どうしよう。

困ったな、すごく胸に刺さる。

ゆっくりと立ち上がった。

「じゃあ…迷路!迷路なら手繋がなくてもバレないしね!」

私も笑顔で返したつもりだった。

うまくできてたかな。

顔を見られないように迷路のある場所まで走った。

白くんの方を振り返ることなく、アトラクションの中に入った。
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