「Of My Disteny」ー手、繋ごうー
「………。」

自分の成績には目をつぶり、上位の人たちの結果だけを見に来た。

1位は鮫上くん、2位は宇貝くん、3位は星出さん…

あれ、白くんの名前ない。

ザーッと上位10人まで何度も見返した。

でもどれだけ見ても白くんの名前はなくて。

…もう少し下なのかな?

勝手にTOP10かなって思ってたけど、20位以内でも十分すごいもんね。全校生徒は240人いるんだから。

「……。」

どれだけ下がっていっても白くんの名前は見付けられなかった。

えっと、もう少し下…なのかな。

まだ名前は出て来なくて…

「あっ」

やっと見付けた、白くんの名前。

結構数字増えちゃったとこに名前があった。
半分よりちょっと上ぐらいの、ん?だいたい半分くらいの…

「思ったより低いでしょ」

「白くん!?」

気付けば真剣に成績一覧表とにらめっこする私の隣に白くんが立っていた。集中し過ぎて気付かなかった。

「…白くんも、その…考えごとしてて勉強が手につかなかったの?」

ふるふると首を横に振った。

「俺の実力派あんなもんだよ。あれだけやっててもこんなもん」

「……。」

「呆れたでしょ?」

眉を下げて、悲しそうに微笑んだ。

「意外と出来ないんだよね、出来てるように見せてるだけで」

白くんが顔を上げて、張り出された成績表を見る。上の人たちを羨むように。

「全然…、言われた通りには出来ないんだよ」

“社長の息子のくせに”

きっと白くんは小さい頃からそのために努力してきたんだと思った。

「いつも完璧を求められて、必死にやってるつもりでもどこか足りなくて…」

それは私なんかではわからないぐらいに。

「本当は英会話だって読書だって好きかって言われたらわからないよ、羽実と話してて気付いたんだ」

「…何を?」

「両親やその周りの大人たちに、息子さんは凄いですねって言われるために勝手に好きだって思い込んでたんだってこと」

“それは何に役立つの?”

あれは白くんの中であたりまえのことだった。

そうやって完璧な自分を追い求めてたんだね。

「だけどもうしんどくなっちゃって…、全部を捨てたかった」

白くんが俯いた。

弱々しくて今にも消えてしまいそうだった。

「それが俺が七海学園(ここ)へ来た理由」
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