僕をスターにしてくれた君へ
「夢人さん、雑誌の撮影現場到着しました。」
僕の現場マネージャーである田中の声で現場に到着したことに気づいた。
「今日、ゆりさんは、来てないの?」
僕は、周りを見渡し、彼女が現場に来ていないことに気づいた。
「そうですね。ゆりさんは、今如月マコトくんの育成で忙しいみたいで。」
僕がデビュー当時は、現場には、いつも彼女がいてくれた。
「夢人、台本の読む練習してきた?」
「はい。ばっちりです。」
「体調は大丈夫?緊張してない?」
「はい。少し緊張します。」
「大丈夫、何かあっても私がいるから。」
彼女は、不安な時いつでも僕を励ましてくれた。
でもデビューしてから3年経ち、人気俳優の仲間入りを果たした頃からかな?
彼女が現場に着いてこなくなったのは。
その時気付いたんだ。
彼女は、俳優の卵を育てるのが好きで、育てた俳優のその後には、あまり興味がないということを。
でも今日も頑張る。
彼女が望む俳優になるため。
彼女を喜ばせるため。
今日も撮影に望む。