ひねくれ御曹司は気高き蝶を慈しみたい
「俺に任せておけ。辛かったら言えよ」
粧子は灯至の手に己の手を重ね、コクリと小さく頷いた。新妻の了承を得た灯至は、真の夫婦になるべく腰を進めた。
「あっ……ひっ……」
念願叶ってひとつになると、彼女の可憐な顔が苦悶の表情に変わる。辛くても決して痛いとは言わず、唇を噛み締め痛みを我慢する様子はいじらしかった。
優しくしてやりたいのに思うようにならない。
ならせめて気を紛らわせてやろうと、豊かに膨らむ胸の頂きを甘噛みし、のけぞる喉笛を舌でなぞる。他に痛みを和らげる術を知らない。
そうやって身体を押し開いたまま、何分が経っただろうか。
「と、うじさん……。もう平気よ……」
目尻に涙を浮かべながら微笑む粧子を見て、一瞬で理性が飛びそうになる。
逆手でシーツを握る手を解き、自分の指を絡ませベッドに縫いとめる。
こうやって捕まえておかないと彼女が蝶のようにどこかへ飛び立ってしまうような気がした。
秘密という名の虫籠は彼女にとってさぞ狭く苦しいものだろう。
だが、今だけは。この腕の中を乱れ飛んで欲しかった。