ひねくれ御曹司は気高き蝶を慈しみたい
これが好きということなの?
これまで誰にも抱いたことのない感情だった。灯至から褒められたり、優しくされると、いてもたってもいられなくなる。まるで正気でいられない。
私はこの人のことが……たまらなく好きなのだ。もう、どうしようもないほどに。
自分の気持ちを自覚した途端に胸がズキリと痛む。灯至に真実を打ち明けるべきだと、良心が悲鳴を上げる。粧子はあえて自分の本心から目を逸らした。
口づけを交わしているうちにコロンとソファに押し倒され、首筋に荒い吐息が当たる。粧子は思わず身を捩らせた。
「あ、もっ……こんなところで……」
「ここがどこかなんてすぐにどうでも良くなる」
「んっ……」
リビングのソファの上というおおよそ艶事に相応しくない場所だということが、逆に灯至を燃え上がらせた。
今しがた締めたばかりのネクタイを解き、ワイシャツのボタンを外していく姿に魅せられる。はやく繋がりたいと目で身体で訴えられ、粧子の思考はグズグスに蕩けていった。
もう少しだけ……。お願い……。
天井でクルクルと回るファンを見つめながら、粧子は覆いかぶさってくる灯至の背中に手を回した。