あの花が咲く頃、君に会いにいく。
そういえば…眠くはなるけど、おなかはすかないんだな。



そんなことをボーと考えていると、



–––––ガシャーン!



何かが割れる音がした。


気になり、恐る恐る音がした方に近づくと、向かいの部屋の窓ガラスが散乱していた。


どうやらこれが割れた音だったようだ。



「…どうして割れたんだろ」



なんとなく気味が悪くて、この廃墟から出ようと踵を返す。



「…え」



振り返るといつの間にか、ドア付近に闇に溶けそうなくらい真っ黒なワンピースを着た髪の長い女の人が、ぽつんと突っ立っていた。



なぜか、体が動かなかった。


怖くて今にも逃げ出したいのに、体がその場から動かなく声も締め付けられたように出なかった。



早く逃げなくては。


体の芯からこの女の人には近づいちゃいけないと拒絶している。


それなのに、体が動かない。



「あ…あ…っ」
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