あの花が咲く頃、君に会いにいく。
「そういえば叔母さんがうちの高校に通ってた時に、学校で女子生徒が亡くなった事件がなかったですか？」


「女子生徒が？どうしてそんなこと聞くの？」


「そういう噂をしてる生徒がいて、少し気になって…」


「んーそうねぇ…」



考え込む素振りをしていた楓の叔母さんが、何かを思い出したのか「あ！」と声を上げた。



「学校で亡くなったわけじゃないけど、同じクラスだった天内優香(あまないゆうか)って女の子が、病気で亡くなってお葬式に行ったことならあるわよ。元々体が弱かったみたいで、学校にも二回くらいしか来たことがなくて話したことはないんだけど、クラスメイトだったから覚えてる。そのくらいしか知らないわ」


「どんな人だったかは覚えてますか？見た目とか」


「そうね…。たしか、黒髪ロングの似合うお人形さんみたいに美人な子だったわ。物静かで、落ち着いた雰囲気があって、学校に来た時はみんな距離を置いて外から見るって感じだった」



楓と軽く目配せをして頷く。


確証はないけど、あの悪霊の正体は天内優香さんで間違いない気がした。


＊


「いいか、あいつが来たら絶対に俺から離れるなよ」


「もうわかったってば」



次の日、最終下校時刻を過ぎた校舎の空き教室で、楓と身を潜めながらもう何度聞いたかわからない確認に小さくため息をつく。



昨日楓の叔母さんから得た情報以外特に何もわかることはなく、考えていても仕方がないのでもう一度あの悪霊と接触してみることにしたのだ。
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