あの花が咲く頃、君に会いにいく。
ぴくりと優香さんの髪の毛が反応をすると、楓に巻きついていた髪の毛が簡単にするりと離れた。


そして、次は私の首に巻きついてきた。



「早乙女!」



ギリギリときつく締めつけてくる縄のような髪の毛に、声すら出せない。



「うわ…っ」



お札を取り出そうとしていた楓の足を髪の毛が掴んで転ばせ、体に巻きついた。



「ぐ…っ、うあ…っ」



締めつけられている楓が苦しそうにもがくが、助けに行ってあげられない。


体に力が入らなくなってきて気を失いかけた時に、突然笑い声が頭の中に聞こえてきた。






「あはは、なにそれ面白すぎ」


「こっちも本当傑作だよね!」


「ばっか、それはこっちのアイテムだよ!」


「ぐあ、またやられたー!」



頬杖をつき閉じていた目を開けると、クラスメイトがそれぞれのグループで固まり楽しそうに話している光景が飛び込んできた。
< 103 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop