あの花が咲く頃、君に会いにいく。
「今日で紫音が死んでから、ちょうど49日か…」


「そうね…」



すっかり涙もろくなってしまったらしいお母さんが瞳を潤ませ、鼻をすすった。



「今度紫音と梨央の墓参り行こうな。それで、ちゃんと伝えよう。もう一度お父さんとお母さんはやり直すことにしたよって」


「再婚するなんて言ったら、二人はどんな反応するのかしら…」


「そうだな…。梨央はきっと優しいから笑って頷いてくれるだろうな。それで紫音は、再婚するくらいなら最初からうまくやってよね!って怒りながら泣くんだろうな」


「二人とも優しくて、本当に自慢の子どもたちだった。それなのに…っ」



顔を覆って静かに泣くお母さんを、何も言わずにお父さんが優しく引き寄せ抱きしめた。


私も泣きじゃくる二人を触れられない体で上からそっと抱きしめる。



「お母さん、お父さん、大好きだよ。私のために泣いてくれて、愛してくれてありがとう」



聞こえないのはわかっているけど、二人の耳元でそっと囁き家を出る。


愛し合っていたのに離れてしまった二人が、私の死をきっかけにもう一度一つになってくれたことが純粋に嬉しかった。


二人と離れていても、私は二人の子どもだから。それはずっと変わらない。



「ねえ今日このドーナツ屋寄ってかない?ちょうど期間限定味が発売されたばっからしいよ」


「行く行く!気になってたとこ!」
< 115 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop