あの花が咲く頃、君に会いにいく。
「死んでるとか生きてるとか、今はそういうの全部抜きでおまえの本当の気持ちを聞かせてくれ。早乙女は、俺のことどう思ってる?」



–––––「今日だけは正直に自分の気持ちを伝えるんだ。笑っても泣いてもこれが君にとって最後の日になるんだから」



このまま楓に想いを伝えなくて、本当にいいのかな…。



「私、は…」



やらなくて後悔するんじゃなくて、やって後悔した方がきっといいに決まっている。


私の勝手な気持ちだとしても、今楓に伝えないときっとずっと後悔する。



「楓が好きだよ…。好きだから、死にたくなんてなかった…。悪霊になってもこの世にいたかった…っ」



出会った時からずっと優しくて、不器用だけどいつも助けてくれて、楓は私のヒーローだった。


ダメだってわかっているのに、どうしようもなく楓に惹かれてしまった。


ずっと一緒にいたいと願ってしまった。



私の最後の未練は、好きな人に好きと伝えてみたかったこと。



「…っ」



楓が私を引き寄せると、ぎゅっと強く抱きしめてきた。


いつの間にか私たちの体は金色の光で包まれていた。



「だったら尚更、悪霊なんかになるな。ちゃんと成仏して生まれ変わって、また俺のところに来いよ」


「…待ってて、くれるの…?」
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