あの花が咲く頃、君に会いにいく。
ずっと泣かないと、みんなと笑ってさよならをするんだと決めていたのに、楓の前では涙が溢れて止まらなかった。
ぼやける視界で、体を離した楓がふっと笑うのがわかった。
「当たり前だろ。他の人と恋愛なんてできないしする気も起きない。だからちゃんと責任取れよ」
「ふふっ、何それ…」
楓が私の額に自分の額をくっつけてきた。
やっと楓に触れて、抱きしめてもらえたのにもう光は消えかかってきている。
「シオンって花、知ってるか?」
「え?」
「早乙女と同じ名前の花があるんだ。薄紫色の花で、特に九月が見頃だ。早乙女ともう一度出会えたその時には絶対に見せるから。だから…」
ぐいっと楓の襟を引き寄せ、形のいい唇に自分の唇を重ねる。
「絶対に会いに行くよ。だから…待ってて」
楓は泣きながら笑う私を愛おしそうに見つめると、そっと顔を近づけてきた。
消える寸前の金色の光に包まれながら、もう一度楓と出会えますように、そう願いを込めて目を閉じた。
◆
シオン。
花言葉:あなたを忘れない、遠くにある人を想う、追憶
ぼやける視界で、体を離した楓がふっと笑うのがわかった。
「当たり前だろ。他の人と恋愛なんてできないしする気も起きない。だからちゃんと責任取れよ」
「ふふっ、何それ…」
楓が私の額に自分の額をくっつけてきた。
やっと楓に触れて、抱きしめてもらえたのにもう光は消えかかってきている。
「シオンって花、知ってるか?」
「え?」
「早乙女と同じ名前の花があるんだ。薄紫色の花で、特に九月が見頃だ。早乙女ともう一度出会えたその時には絶対に見せるから。だから…」
ぐいっと楓の襟を引き寄せ、形のいい唇に自分の唇を重ねる。
「絶対に会いに行くよ。だから…待ってて」
楓は泣きながら笑う私を愛おしそうに見つめると、そっと顔を近づけてきた。
消える寸前の金色の光に包まれながら、もう一度楓と出会えますように、そう願いを込めて目を閉じた。
◆
シオン。
花言葉:あなたを忘れない、遠くにある人を想う、追憶