あの花が咲く頃、君に会いにいく。
「え、だ、大丈夫!?」



慌てて駆け寄り男の子の肩に触れようとするが、すかっとすり抜けてしまう。


本当、使えないなこの体!



「…大丈夫、だ…っ。悪霊を祓うと、体に負荷が来る。一時的なものだから、少し休めば楽になる…」



聞きたいことは山ほどあったが、今は男の子の体調を考え、黙っていることにする。


男の子は顔色の悪いままふらりと立ち上がると、歩き出した。



「え、ちょ、どこ行くの?」


「家に、帰る…」


「え、もう大丈夫なの?」


「大丈夫ではないけど…こんな負のオーラが充満している場所にいても、良くなんてならないから」



辺りを見渡してみるが、私には何も感じ取れなかった。


ふらふらと歩く男の子が気になったが、ついてくるなと言われたばかりだしどうしようかとその場で躊躇っていると、男の子が振り返ってきた。



「…何してんの。あんたも来るんだよ」


「…え?あ、え?」



戸惑う私を置いて男の子はさっさと歩いて行ってしまい、慌てて追いかける。


男の子の働いているお花屋さんを通り過ぎ、少し歩いたところにあるアパートの一室に男の子が鍵を開けて中に入った。
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