あの花が咲く頃、君に会いにいく。
「…君も、私が見えるの？」



顔を覗き込んで話しかけてみるが、猫はふいっとそっぽを向くとそのままどこかに行ってしまった。



しばらく近くを散歩してから、再び男の子の家に戻る。


さっきまで寝ていたはずの男の子が台所に立って何かを作っていた。



「あー！もう動いて大丈夫なの？」


「…ああ」



男の子は手際よくチャーハンを炒め、さっとお皿に盛った。


おなかは空いていないがとてもおいしそうで、食べたくなってくる。



「ねえあのさ、色々聞きたいんだけど、いいかな？」



チャーハンを食べ終わるまで待とうと思ったが、我慢の限界だった。


男の子はチャーハンを食べながら私をちらりと一瞥し、小さく頷いた。



「私を襲ってきたあれは、何？あれも幽霊なの？」


「…あれは悪霊。49日間の間で未練を解消できなかった幽霊は成仏できなくて、悪霊化するんだ」


「未練を解消できなかったら、悪霊になっちゃうってこと！？」


「まあ大抵はそうだな」



何それ。そんなリスク、天使様から何も聞かされていない。
< 15 / 129 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop