あの花が咲く頃、君に会いにいく。
「あなたは、悪霊を祓えるの?霊感があるから?」


「ただの霊感がある人じゃ祓えない。俺のじぃちゃんが除霊師をやっていて俺も少しだけど教わったことがあるんだ。少ししか知らないからじぃちゃんからもらったお札を使わないとできないし、強い悪霊じゃなかったからできたことだ。普通だったら俺には無理。お札を使った反動で三日も寝込んでしまったし」


「え?三日?あの日から三日も経ったの!?」


「ああ。おまえもかなりぐっすり寝てたな。きっと悪霊と干渉したから疲れたんだろ」



それにしても、幽霊になってからよく眠ってしまうなあ。


気をつけないと。



「悪霊は人に危害を加えるほか、未練解消中の幽霊にも手を出してくる。だからあんないかにも悪霊が出そうな場所にはもう二度と近づかない方がいい」


「あの、なんで私が襲われてるってわかったの?」


「…あの日、おまえに少し言い過ぎてしまったと気にかけていたんだ。そしたら近くから、悪霊が放つ強いオーラを感じてもしかしてと思って行ってみたら、思った通りおまえが襲われていた」



気にかけて、くれていたんだ…。



「そっか。助けてくれて、ありがとう」


「…別に。…昔から、霊感があるせいで周りから変なやつだって思われて、孤立してたんだ。だから霊は嫌いで、ついおまえにもきついこととか言ったけど、おまえに当たるのは違かった。だから、その…悪かった」


「え、いやいや!全然!私こそそうとも知らずに、つきまとってごめん」



なんとなく気まずい空気が漂い、じゃ、と言って立ち上がる。



「悪霊には気をつけるね。助けてくれて本当にありがとう」
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