あの花が咲く頃、君に会いにいく。
「…どこ行くんだ?」


「…へ?どこって、特に決まってはないけど…ここにいる理由はもうないでしょ?」



霊が嫌いだと言うのに、これ以上関わるのも迷惑だろう。


あ、最後に学校の名前だけ教えてもらわないと。



「あの…」


「別に、ここにいてもいいけど」


「…へ?え、でも、霊が嫌いなんじゃ…」


「そう、だけど、何もしないでクラスメイトが悪霊なんかになっても、罪悪感残るしな。だから、一つだけ。未練解消一つだけなら、手伝ってやる」


「え、い、いいの…?」


「ああ。ただし、一つだけな。未練が一つならそれまでだし、まだある時は自分でなんとかしろよ。おまえもそのうち記憶取り戻すだろ」



どういう風の吹き回しだろう?


まあ記憶が何もない今、一人だけじゃきっと何もできなかっただろうから、一つだけでも手伝ってくれるほどありがたいことはない。



「じゃあ、改めてこれからよろしくね!私の名前は紫音!」


「…藤原(ふじわら)楓だ」



本当ならここで握手の一つでもしてみたかったが、触れないから意味がない。



「…あ!この写真…!」
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