あの花が咲く頃、君に会いにいく。
ふと、机の上に積まれている写真の束が目につき、その中の一枚を指差す。


あの日、花屋で見た可愛い花の写真だ。



「…ポピーのことか?」


「ポピーっていうの、これ!?可愛いー!お店でも写真見たよ!本物はないの?」


「春に咲く花だから、今の時期は咲いてないんだ。花言葉は、いたわり、思いやり、あとは…いやなんでもない」


「花言葉?」


「花が持つ意味、みたいなものだ。俺の叔母さんが花言葉大好きでよく聞かされてたから、ある程度の花言葉ならわかる」


「花が持つ意味…」



毎日何気なく目に入る程度の花たちにも、ちゃんと一つ一つ意味があったんだな。


なんだかそれってすごく素敵なことだ。



「ねえ、他にはないの?たとえば…これとか!」


「ああ、これは…」



こうして私は霊感のある花言葉に詳しい男の子・楓と出会った。


この楓との出会いが、私の未練に深く関わっているなんてこの時は思いもしなかった–––。





ポピー。
花言葉:いたわり、思いやり、恋の予感
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