あの花が咲く頃、君に会いにいく。
な、なんていい友達なの…!


私の友達はこんなにもいい人達だったの!?


まだ思い出せないのが本当に申し訳ない。



楓は渡された花をじっと見つめると、多分私のであろう机に近づいていき、目の前で立ち止まった。


積まれている花達を一瞥したが持っていた花を添えることはなく、視線を向けたのは隣にじっと息を潜めて座っていた女の子だった。



「中町」



ふんわりとゆるくウェーブのかかった髪で顔が見えないくらい俯いて座っていた女の子が、ゆっくりと顔を上げた。



中町って…楓が言っていた、中町茅乃だ。


私の友達の一人。



「この花達は、早乙女を想っておまえたちが用意したのか?」


「…そう、だけど…。…どうしてそんなこと私に聞くの?」


「いや、なんでもない」



楓は顔をしかめ花を持ったまま教室を出ていった。



「え、楓?」



慌てて後を追いかけるが、楓は何も言わずにどこかに向かっていく。


ゴミ捨て場らしきところまで来てやっと楓は立ち止まり、積まれているゴミ袋の間に持っていた花を放り投げた。
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