あの花が咲く頃、君に会いにいく。



お昼になり、お弁当箱を持った楓が私に「ついてこい」と目配せをして教室を出ていった。


その後を慌てて追いかける。



階段をいくつか上っていき、人通りが全くなくなったところで屋上らしき場所にたどり着く。



楓は屋上の扉の前に座り込むと、お弁当を広げ出した。


中には入らないのかなと不思議に思ったが、よく見るとドアノブには南京錠がかけられていて、中には入れないみたいだった。



「これから、どうするか」



無言で黙々と食べ進めていた楓がぽつりと言葉を漏らした。



「え?あー…。…どうしたら、いいんだろうね」


「…とりあえず、あの四人が一番早乙女との関わりが深いわけだから、何かしら未練の手がかりにはなると思う。だから、話を聞く必要がある、けど…」



言わずとも楓の言いたいことがわかった。


問題は、『私たちの友情は本物か?』だ。


そしてその答えは…。



「ぷっあははははは!いやーそれにしてもクラスメイト全員見事に騙されてたねー」


「私たちが紫音のことを本当は友達でもなんでもないって思ってること、きっと夢にも思ってないだろうねー」


「やっとうざい紫音がこの世から消えてくれて、ほんと清々するー!茅乃もそうでしょ?」


「…うん」
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