あの花が咲く頃、君に会いにいく。
「茅乃の笑顔が…もう一度見たかった…」


「え…」



ぽつりと呟くと、茅乃が驚いた目で私を見つめていた。


私の体と茅乃の体は、金色の光で包まれていた。



「しお…ん…っ?」


「茅乃…私が見えるの…?」



茅乃がゆっくりと近づいてきて、私の頬にぺたりと手を添えてきた。


驚いた。この光が出てる時は、触れるんだ。



だけどその金色の光も、だんだんと薄まってきている。



「ごめん…紫音。私…紫音に守られてばっかりで…。凛達が悪口言ってた時だって、止められなかった…っ。私が止めるべきだったのに、怖くてできなくて…」


「でも茅乃は変われたじゃん。茅乃たちはこれからいい友達になっていくよ。私は死んじゃったから茅乃の隣にもういれないけど、茅乃には凛達がいる」



茅乃が両目から大粒の涙をこぼした。


私も泣いてしまいそうだったけど、なんとなく私は泣いてはいけない気がしてグッと堪える。



「私と友達でいてくれてありがとう。泣き虫だけど本当は誰よりも強い茅乃がずっと大好きだよ!」


「ふ…っ、私こそ…本当にありがとう…っ。紫音がいたから毎日がすごく楽しくて、紫音はいつだって私のヒーローだった…っ」



光はもうほぼ消えかかっている。
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