あの花が咲く頃、君に会いにいく。
Flower3 カーネーション
「えっと…しばらくまたお世話になります…」
今にも消えてしまいたい気持ちで、目の前で大きくため息をつく楓を恐る恐る見上げる。
茅乃と最後の別れをしたのがついさっき。
*
「…もう紫音はいなくなっちゃった?」
「…いや、いるんだけど」
涙を拭っていた茅乃が驚いたように目を見開き、「ええ!?」と素っ頓狂な声を出した。
「えっとその、本とかでしか見たことないからよくわかんないんだけど、幽霊とかって未練?みたいなものを解消したら消えるんじゃないの…?」
「未練は最低一つ、最大で三つって決まっている。…つまり、早乙女の未練は一つじゃないんだろう」
楓がぎろりと睨んできて、あははと苦笑いをする。
まさか自分でも未練がまだあるなんて思わなかった。
でも記憶が全部戻った感じもしてなかったから、なんとなく納得してしまったんだけど、それは黙っておこう…。
「もう一つが何かとかわからないの?」
「そうだったらいいんだけど、早乙女はなぜか生きていた頃の記憶をなくしているんだ。だから、早乙女が考えそうなことを知っていたら教えてほしい」
茅乃はしばらく考える素振りをしてから、あ、と何かひらめいたようだった。
「多分だけど、紫音のお母さん絡みじゃないかな…。母子家庭だったし、それに…紫音のお兄ちゃん、四年前に亡くなってるんだ。それからすっかり紫音のお母さん塞ぎ込んじゃって、それを紫音がずっと支えてあげてたの。そのおかげで二年前くらいかな?普通に仕事に復帰するくらいには元気になったみたいだけど、紫音まで…」
今にも消えてしまいたい気持ちで、目の前で大きくため息をつく楓を恐る恐る見上げる。
茅乃と最後の別れをしたのがついさっき。
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「…もう紫音はいなくなっちゃった?」
「…いや、いるんだけど」
涙を拭っていた茅乃が驚いたように目を見開き、「ええ!?」と素っ頓狂な声を出した。
「えっとその、本とかでしか見たことないからよくわかんないんだけど、幽霊とかって未練?みたいなものを解消したら消えるんじゃないの…?」
「未練は最低一つ、最大で三つって決まっている。…つまり、早乙女の未練は一つじゃないんだろう」
楓がぎろりと睨んできて、あははと苦笑いをする。
まさか自分でも未練がまだあるなんて思わなかった。
でも記憶が全部戻った感じもしてなかったから、なんとなく納得してしまったんだけど、それは黙っておこう…。
「もう一つが何かとかわからないの?」
「そうだったらいいんだけど、早乙女はなぜか生きていた頃の記憶をなくしているんだ。だから、早乙女が考えそうなことを知っていたら教えてほしい」
茅乃はしばらく考える素振りをしてから、あ、と何かひらめいたようだった。
「多分だけど、紫音のお母さん絡みじゃないかな…。母子家庭だったし、それに…紫音のお兄ちゃん、四年前に亡くなってるんだ。それからすっかり紫音のお母さん塞ぎ込んじゃって、それを紫音がずっと支えてあげてたの。そのおかげで二年前くらいかな?普通に仕事に復帰するくらいには元気になったみたいだけど、紫音まで…」