あの花が咲く頃、君に会いにいく。
「そんな複雑な家庭なのか」


「紫音のお葬式も親戚内だけだったし、紫音が死んじゃってからはずっと家に引きこもっているみたいで…。お母さんが心配してたけど、どうすることもできないから私も気になってたんだ」


「…そうか、わかった。もう遅いし、家の人が心配するだろうから中町もそろそろ帰れ」


「うん。もしなんかあったら遠慮なく聞いてね」



茅乃を家までもう一度送ってから、楓の家に帰る。


家に着くまで一言も喋ってくれなかったけど、私どうしたらいいんだろう…。



…そういえば、最初に会った日に、協力してくれるのは未練一つだけって言ってたような…。


…楓がいないと何もできないんだけど!?



「…おい」


「はい!」



手を洗い終わった楓がこちらを振り向き、眉をひそめた。


やばい、出ていけって言われる!?



「ごめんなさい!この前八つ当たりしちゃって!記憶も茅乃のことしか思い出せてないけど…頑張るから!だから見捨てないで!どうかもう一つの未練解消も手伝ってください!」



楓が口を開く前に、がばっと頭を下げてお願いする。



「…別に、そのつもりだけど…」


「…え!?手伝ってくれるの!?まだここにいてもいいの!?」
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