あの花が咲く頃、君に会いにいく。
幽霊でも歩き疲れはするらしい。


どこかで休もうと辺りを見渡していると、ふとあるお店で目が止まった。



「きれい…」



色とりどりの花が飾られている小さな花屋に、気がつくと引き寄せられていた。


そこには様々な形や色の花がたくさんあり、壁には花の写真まで貼ってあった。



「あ、これ可愛い」



ひらひらの大きな花びらが特徴の、オレンジやピンク色の花の一枚の写真に目が釘付けになった。



早乙女(さおとめ)紫音…?」



しばらく花に見入っていると、誰かがいつの間にか目の前に立っていた。


顔を上げると、鉢植えを持った一人の男の子が、私を真っ直ぐ見つめていた。



え…?今、紫音って言った…?



「早乙女紫音、だろ?」


「…え?え!?あなた、私が見えるの!?」



男の子はしまった、とあからさまに顔をしかめ、諦めたようにはあとため息をついた。



「え、ねえ!見えてるんでしょ!?ねえ!?なんで!?早乙女紫音?それ私の名前?」
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