あの花が咲く頃、君に会いにいく。
*
翌日。学校が終わってから、茅乃に教えてもらった私の家に楓と一緒に行くことになった。
覚えてはいないけど、早乙女と書かれた表札の家の前に立つと、なんだか懐かしい気がした。
楓が少し緊張した様子でインターホンを押した。
…しかし、一分くらいが経過しても誰も出てくる気配はなかった。
念の為もう一度インターホンを押したが、結果は同じだった。
「私、ちょっと中見てくるね」
そういえば私は中に入れるんだと気づき、玄関をすいっとすり抜ける。
物をすり抜ける時のこの感触ももう慣れた。
木でできた廊下を歩いていき、閉め切られているリビングの扉もすり抜けて中に入る。
中にはダイニングテーブルに突っ伏している女の人がいた。…もしかして、この人がお母さん?
–––「紫音」
「…っ!」
何かを思い出しかけたが、頭が痛いだけでそれ以上は思い出せなかった。
「随分、悲しんでいるようだね、君のお母さん」
「うわぁ!…天使様」
よいしょと行儀悪くテーブルの上に座った天使様が、お母さんの頭をそっと撫でた。
翌日。学校が終わってから、茅乃に教えてもらった私の家に楓と一緒に行くことになった。
覚えてはいないけど、早乙女と書かれた表札の家の前に立つと、なんだか懐かしい気がした。
楓が少し緊張した様子でインターホンを押した。
…しかし、一分くらいが経過しても誰も出てくる気配はなかった。
念の為もう一度インターホンを押したが、結果は同じだった。
「私、ちょっと中見てくるね」
そういえば私は中に入れるんだと気づき、玄関をすいっとすり抜ける。
物をすり抜ける時のこの感触ももう慣れた。
木でできた廊下を歩いていき、閉め切られているリビングの扉もすり抜けて中に入る。
中にはダイニングテーブルに突っ伏している女の人がいた。…もしかして、この人がお母さん?
–––「紫音」
「…っ!」
何かを思い出しかけたが、頭が痛いだけでそれ以上は思い出せなかった。
「随分、悲しんでいるようだね、君のお母さん」
「うわぁ!…天使様」
よいしょと行儀悪くテーブルの上に座った天使様が、お母さんの頭をそっと撫でた。