あの花が咲く頃、君に会いにいく。
「紫音が選んだんだよな」


「お母さん、いつもありがとう!」



お母さんは驚いた顔でカーネーションを受け取ると、優しく微笑んだ。



「わあ…ありがとう紫音、梨央(りお)。二人がいるおかげでお母さん、毎日が幸せよ」



お母さんが私とお兄ちゃんをぎゅっと抱きしめてくれて、嬉しくなる。


お母さんもお兄ちゃんも大好きだった。ずっと、一緒にいたかった…。






「…お母さん、お兄ちゃん…」



少しだけ、二人のことを思い出せた。



すごく優しくて温かい人達。私の大好きな、家族…。


いつの間にか朝になっていたようで、時計が八時半過ぎを指していた。



「…はっ、約束!」



そういえばと、八時半に集合だったことを思い出す。


慌てて外に出ると、既に二人はもう来ていた。



「遅かったな。寝坊だろ」


「ごめん…!アラームないと起きるの難しくて…。あ、そういえば、お母さんとお兄ちゃんの夢見たよ。少しだけだけど、二人のこと思い出せた!」
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