あの花が咲く頃、君に会いにいく。
警察官を目指したきっかけも、奥さんと釣り合う人に少しでもなりたくて、国民の平和を守る警察官になったそうだ。


そのくらい奥さんを愛していると照れくさそうに言っていた。



「あれ…誰か出てきた」



角から柴崎さんの家の様子を窺っていると、茶色の落ち着いたワンピースを着たボブの女の人と、水色のポロシャツにハーフパンツ姿の男の子が家の中から出てきた。



(さくら)大翔(ひろと)…!」



どうやらあの二人が柴崎さんの奥さんと息子さんらしい。


二人は私たちに気づくことなく、駅の方に歩いていった。



「追いかけよう!」



柴崎さんがすいーっと飛んでいってしまい、その後を慌てて楓と追いかける。


桜さんたちは電車を乗り継いで、ある遊園地まで来た。



–––「紫音、はぐれないように手繋いでよ」



「…っ」


「早乙女?どうかしたか?」



入場券を買いに行っていた楓が、頭をおさえてうずくまる私に駆け寄ってきてくれた。



「あ、ううん、なんでもないよ…。それより、柴崎さん、ここに見覚えとかはないんですか?」


「ここは…よく休日に桜と大翔と来ていた遊園地だ…」
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