あの花が咲く頃、君に会いにいく。
「ああ。家族の時間を邪魔する必要はないだろ」


「まあそうだね。…それにしても、ジェットコースターとか観覧車とかくらい乗ればよかったのに」


「一人で乗ったって楽しくないだろ」


「ええ、私は乗りたかったのにー…。って、幽霊だからジェットコースターとか乗れないかあ。あ、でも観覧車ならいけそうじゃない?ゆっくりだし、透けちゃわないように気をつければ!」


「さあな。今からでも戻って行ってくればいい」


「やだよ!一人じゃつまんないもん!」



楓はふっと珍しく吹き出した。


不意打ちの笑みに思わず胸がきゅうと苦しくなる。



「そ、そういえば!あの遊園地、私も昔行ったことあると思うんだよね。なんだか懐かしい気がして。早く記憶思い出すためにも、今日も自分の家に泊まるね!」


「そうか。最近記憶も段々思い出せるようになってきてるし、このままいけば未練解消もできるな」


「うん、頑張る!」



楓と駅でわかれ、自分の家に行く。


リビングには昨日と同じようにお母さんが机に突っ伏していた。



…お母さんはちゃんとご飯を食べているのかな?お風呂も入ってる?洗濯とか掃除も、していないように見えるけど…。


私が死んでからもう三週間ちょっとが経っている。ずっとこのままだったら…。



–––ピンポーン。



ふと、インターホンが鳴り響いた。
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