あの花が咲く頃、君に会いにいく。
誰だろうと思って外を覗きに行くと、そこにいたのはスーツ姿の四十代くらいのサラリーマンだった。
175くらいはあるだろう身長に、柴崎さんのようなほんわかとした優しい感じというよりは、仕事がよくできるキリッとした男の人だった。
「小枝、俺だ。玲司だ。開けてくれないか…?」
玲司と名乗る人が、扉越しに声を掛けている。
誰なんだろう、この人は…?
「…っ!何しに来たのよ…!」
玄関を勢いよく開けてお母さんが出てきた。
まさか出てくるとは思っていなかったから、少し驚く。
玲司さんはお母さんのやつれた姿に目を見開き、一歩近づいた。
「小枝…、飯ちゃんと食ってるのか?髪だってボサボサで…」
「触らないで…っ!何しに来たの!?ここにはもう二度と来るなって言ったでしょ!」
「小枝、落ち着いてくれ。俺はおまえが心配で…」
「今更どの面下げてそんなこと…。あなたがいなくなってから、私は二人を大切に育てて来たのよ。宝物だった。それなのに、二人とも私の前からいなくなってしまった…。紫音なんて私のせいで…っ。あなたにはこの気持ちわからないでしょうね。もう二人がいないなら、私は死んだって構わない。だからあなたもほっといて。二度と来ないで!」
お母さんが勢いよく閉めた扉に、玲司さんが手を伸ばしかけたが、声を掛けることなく悲しそうに俯きながら帰っていった。
…思い出せないけど、わかってしまった。あの人が、私のお父さんなんだと。
リビングに戻ると、お母さんは静かに泣いていた。
175くらいはあるだろう身長に、柴崎さんのようなほんわかとした優しい感じというよりは、仕事がよくできるキリッとした男の人だった。
「小枝、俺だ。玲司だ。開けてくれないか…?」
玲司と名乗る人が、扉越しに声を掛けている。
誰なんだろう、この人は…?
「…っ!何しに来たのよ…!」
玄関を勢いよく開けてお母さんが出てきた。
まさか出てくるとは思っていなかったから、少し驚く。
玲司さんはお母さんのやつれた姿に目を見開き、一歩近づいた。
「小枝…、飯ちゃんと食ってるのか?髪だってボサボサで…」
「触らないで…っ!何しに来たの!?ここにはもう二度と来るなって言ったでしょ!」
「小枝、落ち着いてくれ。俺はおまえが心配で…」
「今更どの面下げてそんなこと…。あなたがいなくなってから、私は二人を大切に育てて来たのよ。宝物だった。それなのに、二人とも私の前からいなくなってしまった…。紫音なんて私のせいで…っ。あなたにはこの気持ちわからないでしょうね。もう二人がいないなら、私は死んだって構わない。だからあなたもほっといて。二度と来ないで!」
お母さんが勢いよく閉めた扉に、玲司さんが手を伸ばしかけたが、声を掛けることなく悲しそうに俯きながら帰っていった。
…思い出せないけど、わかってしまった。あの人が、私のお父さんなんだと。
リビングに戻ると、お母さんは静かに泣いていた。