あの花が咲く頃、君に会いにいく。
そういえば人はすり抜けるけど、物はどうなんだろう?


試しに電柱に触れてみようとするが、呆気なくすり抜けた。



人や物には触れないのに、地面は歩けるんだなあ…。


でも地面の感覚はあまりないというか…もしかして浮いているのかな、これ?


…もしかして、飛べたりする系?



なんてことを考えていると、くるりと男の子が振り返ってきた。



「…いつまでついてくんの?迷惑」


「あ…えと、その…」


「さっきも言ったけど、俺は生前のあんたと関わったことないから何も知らねぇよ。死んだはずのクラスメイトがいたからつい声かけちゃっただけで、幽霊だなんて気づかなかったし。幽霊ってわかった今は、おまえと関わる気はない」


「でも、他に頼れる人いないし…」


「知らねぇよ。自分でなんとかしろよ。俺を巻き込むな」



その突き放すような冷たい言い方に少しむかっとする。



「…そっちから話しかけてきたくせに」



私のことが見えるってわからなければ、こんなにしつこくつきまとったりなんてしなかった。



「…そうかよ、悪かったな」



ハッと顔を上げると、男の子はこちらを鋭く睨みつけていた。
< 8 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop