あの花が咲く頃、君に会いにいく。
お母さんはいつも通りリビングにいて、どこか一点をぼーっと眺めていた。


その視線の先を辿ると、気づかなかったけど、リビングの隅っこに写真立てがいくつか並べられていて、その中に一つだけある家族四人の写真を見ていた。



私とお兄ちゃんが小学生くらいの頃だろうか。幼い笑顔だけど、すごく幸せそうだ。


写真立てに近づいていき、そっと触れてみる。



…すると、いきなりたくさんの思い出が頭の中に流れ込んできた。






「急げ、あと五秒だ!」



セルフタイマーにセットしたお父さんが慌てて戻ってきて、カメラを向いた。



「ん、待てよ。ポーズって何したらいいんだ!?ピースか!?それとも、みんなでハート作るか!?」


「あはは、なんでもいいわよそんなの」


「ピース!ピースがいー!」


「紫音がピースなら俺もそれで」


「え、ぴー…」



お父さんが何かを言いかけたところでシャッター音が鳴った。



「あー!やっちまった…」


「見せて見せてー!」
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