あの花が咲く頃、君に会いにいく。
「なんで早乙女はすぐ悪霊に襲われるんだよ!もう一人で行動するの禁止だ」


「うう、ごめんなさい…」



今回悪いのは完全に油断してこんな時間まで寝てしまっていた私だから、素直に謝る。



「…っ」


「楓!?」



急に楓が苦しそうに胸を押さえてうずくまってしまった。


その肩に触れようとするが、やっぱりダメだ。さっきは触れたのに…。



「だい…じょうぶだ…。さっきの霊が、この前よりも力を増してたから…少し無理をしてしまっただけだ」


「ごめん、私のせいだよね。ちゃんと楓のそばにいればよかったのに…。ごめんなさい」



楓は泣きそうになっている私の頰に触れる真似をして、ふっと微笑んだ。



「だから、大丈夫だって。そんな顔すんな。帰るぞ」



楓がフラフラになりながら立ち上がり、家へと歩き出した。


こんな時私が生きていて、そばで支えてあげられたらどんなによかっただろう。



私が未練を思い出せないばかりに、楓にたくさん無理をさせてしまっている。全部、私のせいだ…。





楓が寝静まったのを確認してから、すいっと壁をすり抜けてベランダに出る。
< 94 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop