あの花が咲く頃、君に会いにいく。
「じゃ、僕も忙しいしもう行くね。もし君に何かあったとしても、そばに助けてくれる騎士(ナイト)がいるんだから、もっと頼りなよ」


「え?なんの…」



なんのこと、と言い終わる前に天使様は音もなく消えていった。



騎士(ナイト)って…もしかして楓のことだろうか。


たしかに楓は今までたくさん私のことを助けてくれた。



…だけど、いつまでも頼りっぱなしじゃダメなんだ。



「…早乙女、眠れないのか?」



中に戻り部屋の隅っこに体育座りをしたところで、寝ていたはずの楓がむくりと起き上がった。



「あ…えっと、うん…。ちょっとだけ」



素直にそう答えると、楓は何かを考える素振りをしてから、少し横にずれて「こっちに来い」と言った。


言われた通り、少し空けられた隣に腰掛ける。



「今日は一緒に寝るか」


「え?ええ!?な、何言ってんの…!?」


「ば、ちげぇよ、勘違いするな!おまえが寝れないって言うから、一緒に寝たら眠れるかもって思っただけだ!そもそも霊に手なんて出さねぇよ。変なこと想像するな」


「し、してないよ!」



楓は布団に潜ると、ぷいっと背中を向けてしまった。
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