あの花が咲く頃、君に会いにいく。
少し迷ってから隣に寝転がる。



「…早乙女」


「ん?なに?」


「おまえは今、何を考えてる?」



まるで私を見透かすようなその質問に、思わず目を見開く。



「ずっと何か考えてるだろ。言ってみろ」


「…三つ目の未練がわからない。私は死んだ時何を思ったのか、どうしても思い出せないの。たくさん楓に迷惑をかけて、無理させて、早く成仏したいと思ってるのに何もわからないの…」



なんの手がかりもなくて、本当に私に三つ目の未練があるのかすらわからなくなってきた。


色々試すって言ったって、何をしたらいいのかもわからない。



「…今更迷惑とか無理とか、そんなの気にしてない。自分で首を突っ込んだんだ。ちゃんと最後まで早乙女に付き合う」



こういうことを顔を見て言わないあたり、楓らしいなと思った。



「それにあまり難しく考えなくても、普通に過ごしてれば未練くらいすぐに思い出すだろ。どうせ早乙女のことだからケーキが食べたかった、とかな」


「ちょっと、そんなに食い意地張ってないんだけど!」



肩を震わせて笑う楓が振り向いてきて、あまりの顔の近さに少しだけドキドキする。



「だからやりたいと思うことを今はやっとけばいいんじゃないか?何かないのか、やりたいこと」


「やりたいことね…」
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