あの花が咲く頃、君に会いにいく。
楓の話によると、あの悪霊が着ていた制服は二十年前のものらしい。


楓の叔母さんも元々あの高校の卒業生らしく、その時と同じ制服なんだとか。



あの学校に住み着いているということは、学校に何かしらの未練があるんだろうと楓は言っていたけど…一体何があったんだろう?



「あの…そろそろ閉館のお時間です」



楓と食い入るように新聞を見続けること三時間。


なんの収穫もなしで図書館の閉館時間を知らせる職員の人が来て、今日はここまでとなった。



「やっぱそう簡単に見つかるわけないか…」


「そうだね…。せめてあの悪霊の名前だけでもわかればいいのに…」


「あら、楓くん?」



楓の家に向かいながら小声で話していると、向かい側から買い物袋を下げた楓の叔母さんが歩いてきた。



「今帰りなの?随分遅いわねぇ」


「はい。少し用事があって」



他愛もない会話をする二人を眺めているところで、ハッと名案を思いつく。



「ねえ、楓!たしか楓の叔母さんも同じ学校だったんだよね?それなら、何かの理由で学校で死んじゃった女の子がいないか聞いてみてよ!」



楓がなるほど、という顔で小さく頷くと、叔母さんに「そういえば」と何気ない感じで話を切り出した。
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