先輩…好きになってもいいですか。
「皆お疲れ様」

まだ顧問は来なさそうなので輪の中に入り座った。

「絃羽もお疲れ様ー!もうスイッチ切れちゃってるねっ」

樹は部活後なのにすごい笑顔だ。周りの人もそうだけど皆疲れてないのかなって思うレベルだ。

「明日部活後に一年の歓迎会も兼ねてご飯食べに行くって絃羽も来るよね?」

稀翔が頭を撫でながら尋ねてきた。頭を撫でるのが好きなのかよく暇さえあれば撫でられる。

「うん。皆が行くなら行くよ」

「行くお店調べたら美味しそうなスイーツも沢山あったよ!」

甘党な一織が嬉しそうに言っていた。

「そうなんだ。楽しみ」

その後も会話が続いていたが私は体育座りをしてぼーっと床を眺めていた。

すると頭に優しい手でぽんっとされた。

「絃疲れて眠たくなった?」

外で眠くなることはあまりないがこの四人といると心地よくて眠くなりやすい。

「皆といると居心地よすぎて…眠くなっちゃうみたい」

少し照れくさくて、えへへと少し笑いながらいった。

「なにそれ!かわいいっ」

「絃が笑うのレアだぞ。写真撮れ」

「あ、スマホ鞄の中だよ〜!僕も絃といるの落ち着くから好きだよっ」

「うるさい。勝手に写真を撮ろうとするな」

「湊だってよく盗撮してるくせに〜このシスコン!」

一気に騒がしくなったが私ってそんなに笑うのレアなのかな…。まあ楽しそうだからいっか。

顧問が来たのでキャプテンが集合をかけた。

大会の連絡をするみたいだ。試合相手は第一高校でそこそこ強かったが普段通りやれば勝てるだろうと言われた。

挨拶をし、着替えが早く終わったので玄関で湊のことを待っていた。

「あ、絃羽先輩!お疲れ様です」

自分の世界に入り込む前に話しかけられた。目の前にいたのは蒼だ。

「…うん。お疲れ様」

返事をすると蒼はきょとんとした顔をしている。

「先輩って部活の時と雰囲気違うんですね。部活後だとすごいゆったりした感じがします」

部活の時はさすがにゆっくりとはしてられないので切り替えてきびきびと動くようにしている。

部活入りたての頃は絶対に言われる。

「うん。切り替えてるからね」

湊が来たのでバイバイと手を振った。

「気をつけて帰ってね。また明日」

「はい!お疲れ様です!」

蒼の印象は元気で素直な子だ。人懐っこいくて身長も高く顔立ちもよくモテるだろう。

そういえば部活に入ってくる前にあったような気もするな…と思い出そうとしたが出てこなかった。

< 6 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop