if…運命の恋 番外編Ⅰ「美しい女性」
第1章

プロローグのような・・「片瀬家の人々」


第1章「片瀬家の人々」

俊と私と優人の3人の生活が始まって暫く経つと、渡米するのか、このまま日本に残るのか良く考えなければならなかった。

俊は2年あまりをUCLAの医療研究チームに身を置き研究に励んだわけで、それを中断させる事は俊にとっても不本意だろうし、私達が理由で辞める事が嫌だった。かといって、幼い病気がちの優人を連れて渡米する事は自信が持てず、とっても悩んだ

暫くの間は、単身で渡米をするしかない。とそこまで考えてみて俊に伝えたが、私達を残してUCLAに戻るぐらいなら、もう渡米はしないと俊が大反対してきた。
俊はけして仕事優先に考える人じゃないし、だから私達家族との生活を選ぶだろうと予測していた。だからこそ俊にちゃんと向き合わなければいけない。

「俊、私たち今までずっと離れて暮らしていたでしょ?」
『そうだね、、』
「私ね、考えたの。あなたとアメリカに行くわ」
『、、そりゃ有難い事だけど、無理する必要はない。僕がお願いして日本に戻る手続きができれば、、』
「ダメよ。少なくとも、それは今じゃない事がわかるわ」

彼の置かれている状況を考えてみてもすぐに日本に戻ることはできない。
今は優人と共に俊について渡米する事を決めた。
何度も無理をしないで欲しいと俊は言うけれど、私がそうしたかった。

UCLAの研究チームの配慮で、俊の渡米を少しの時間延期してもらい、その間に私と優人の渡米の手続きや引っ越しの準備を始める事にした。
しかし、この時はまだ渡米するものだと考えていた私達だったが、事情が変わり最終的には渡米せずに、俊が日本に戻って来れるようになったのは、あとのお話である。

そんなだったので、渡米する前に、日本にいても なかなかすぐに行く事が出来ない ”福岡の俊の実家”に挨拶もかねて優人を連れていくという計画を立てた。
私が、そう俊に伝えると『別にいいのに、、』と言う彼だったけど、すかさず私が「お義父さまもお義母さまも優人に会いたいって思うのよ」っていえば
『まぁ・・そうだろうな』と納得の笑顔で、私達は福岡行きを果たす事になったのだ。

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