if…運命の恋 番外編Ⅰ「美しい女性」
腰を落として、座っている美子と目線を同じにして言った。ちょっとだけ顔を横に傾けて困った表情をする。
『動けない?肘の他にどこか痛む?』
「どこが痛いってわけでもないんですけど、、怖くて足が動かないっていう感じなんです」
『あ~~ッそうか、うん、それじゃ仕方ないですよね』
勇はそう言うと、美子に背を向けて暫く待った
「えッ? あの、、まさか私が?」
勇は黙ってただ背を向けて待っていたが、彼女は一向におんぶされて来ない。 っていうか、それを躊躇する言葉が聞かれる。勇はもう一度、美子の方を向くと言った。
『さぁ、僕につかまってください。安全なところまで行きますよ!』
「あの~~」
明らかにおんぶされるのを躊躇している美子の様子に、勇は、ため息をつくと言った。
『君はどうしたい? その様子だと僕の背中は嫌だって事ですね? ん~後は』
勇はそう言うと、美子の膝裏に自分の腕を入れ、美子の背中を支えるとふわりと彼女を持ち上げた
お姫様抱っこっていうヤツだった
「きゃ!! こ、困ります! こんなところを誰かに見られたら、、」
『動かないッ!落ちちゃうよッ! 君ねぇ、僕だって恥ずかしいんだから』
美子が細身で軽いせいか、馬場からクラブハウスまでは難なく彼女を運べたようだ。しかし、美子は勇に抱っこされて真っ赤になって俯いている時、心臓が止まりそうなぐらいにドキドキしてしまった。
移動途中、チラって抱っこしてくれている勇の顔を見ると、その顔が美子の脳裏に焼き付いてしまう。