if…運命の恋 番外編Ⅰ「美しい女性」
「それでさ、お前もうポロ競技の準備はOKのようだから、その、、クラブには顔を出さなくてもイイよ。傷は浅いウチの方が、、な?」
『ああ、そうだな』
「それに、お前は乗馬はもうマスターしてるし、マレットを使ってのファールド練習も出来てるらしいじゃないか。これ以上上手くなってさ、ポロ競技に出られたら、周りが俺に文句言う」
『そうか、気にかけてくれて悪い』
「片瀬~~!! お前って、、」
友人は俺を励まそうと色々言って来るけど、確かにこの場所は俺の来る場所じゃない事は自身が一番理解していた。勇はその日を境にクラブに行く事をやめた。
ただ、暫くして胸のモヤモヤが酷くなった気がした。それに何か大事な事を忘れてしまったような感覚が続いた。
美子はいつものように、あの芝生に上で勇を待ち続けた。
いつもなら来る時間なのに、、今日は来なかった。
そして明日も、明後日も、、2週間いくら待ち続けてもクラブに勇の姿が現れる事はなかった。
美子は勇の通う国立医大に行ってみる事にした。しかし、それは美子にとってハードルの高い行為で恐怖さえ感じる。良家の子女がそんな事をするなんて、両親に知れたりしたら大変な事になってしまう。
それでも、美子は俊に会って、、
”会って、何? 私、何を伝えたいの?”
そう考えて、頭の中が真っ白になる。美子は黄色に染まった木々の中のベンチを見つけると、一旦落ち着くためにそこへ腰を降ろした。
11月の昼下がり、自分の通う女子大ではなく共学の有名国立大学に”ただ会いたい”という気持ちだけで、ここまで一目散に来てしまった自分が情けなかった。
暫くベンチに座って考え込んでいると、2名の男子学生が美子に声をかけて来た。美子は控えめで目立たなそうな雰囲気だけど、透き通るような白い肌に二重の大きな黒目に細く通った鼻筋の涼しげな美人なのだ。