if…運命の恋 番外編Ⅰ「美しい女性」
「おい!あの子見てみろよ! すっげ~綺麗な子がいるけど、誰待ってるんだろ?!」
『えッ、僕が知ってるわけないだろ!』
友人の言った方を見ると、ちょうど男性2人がその子に話しかけている最中だった。友人は視力が良いのか、その子の顔が綺麗だと言ったが、俺には見えない。ボーっとしてて輪郭ぐらいしかわからない。
「おいおい、、あれ、ナンパしてるぞ。そりゃ、俺だってこの柵がなかったら行くなぁ」
友人は今、俺と3月に行われるポロ競技の練習中だ。広大な芝生の上でストレッチしているのだ。
「なぁ、、ヤバそうだぞ。あの子、嫌がってんのに無理やり誘われてる、どこの学部の奴らだ?」
『おい、真面目に、、』
そんな風に言った後で、俺も気になりその方を見て ”あれ?、、彼女じゃないか?!” そんな気がした。はっきりとは確認できないが、美子のようだと感じた。
「ん?、、真面目にしてるよ。、、ってどこ行くんだ?!」
『ちょっと用事思い出した! 悪いけど、行くから』
俺はそう友人に告げると芝生を走り抜けて、さっきの彼女が座っているベンチの場所を目指した。この芝生を囲む柵がなければ、20メートル先なのだが、グルっと囲む柵の扉を目指すと200メートルはありそうだ。
走っている間、彼女がここにいるなんて、そんな事はありえないって思いながら、一目散に走り、扉を抜けると街路樹沿いを走りながら、やっとそこに着いた。
ベンチから立ち上がり、男たちに腕を引き寄せられていた。
横顔を見るとやっぱり美子だった。
『お待たせ!、、あれ? どうした?』
待ってるはずのない俺の登場に3人が固まってこっちを見て来た。背の高いひょろっとした男と背の低いガタイの良い男は、なんだ?って顔してる。