if…運命の恋 番外編Ⅰ「美しい女性」

美子は俺の顔を見ると驚いたのか、瞳をウルウルさせているだけだ。
彼女の腕を掴んだままの男に近寄って威圧感たっぷりに言った。

『その手を離せ!』
「はぁ?お前なんなんだよ!」

背の低い男は彼女の腕から手を引っ込めると、怯みながら俺にそう叫んだ。

『ああ、、彼女の知り合いだけど、、お前たちは知り合いには見えないな』
「ホントかよ? 俺らが先に彼女に声かけたんだから、、、ってお前、医学部の片瀬か?!」

背の高い男が俺の顔を確認すると、名前を言って顔が引きつらせる。
「オイ、、こいつ片瀬だ、、チッ 行くぞ」

舌打ちしながら引き上げようとする男に、納得できない背の低い男が、「はぁ? 何で?」って言うと、背の高い方の男が、とっても迷惑な顔して
「こいつ、、強えんだよ!」って叫んだ。
「くそっ、、」 なんて女性の前なのに下品な言葉を吐いたと思ったらそそくさと逃げてくれた。

男らが去った後、美子に視線を向けると彼女は俺の顔を凝視している。”ん? どうしたんだ?”

『美子さん、こんにちは』
「、、、、あ、、の、、片瀬さん?」

彼女は声を震わせて、その場にフワッと座り込んでしまいそうになる。俺は慌てて彼女の腕を掴み倒れそうになる身体を支えた。
『大丈夫?』
「、、はい、、、ごめんなさい、またご迷惑をかけてしまって、、」

美子は顔を真っ赤にすると、俯き加減に小声で話す。俺は彼女をベンチに座らせると、彼女の横に腰を降ろした。

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