if…運命の恋 番外編Ⅰ「美しい女性」
『今日はどうしたんですか? 大学に用事でも?』
「えッ? ああ、、あの、、実は片瀬さんにお会いしたくて、、」
『俺に?』
まさか、自分に会いに来てくれたわけじゃないだろうと考えての質問だったのに、彼女は頬を染めながら俺に会いに来たみたいな話をするのだから、男なら期待してしまうだろう。
「はい、、あの、、、ずっと乗馬クラブにはいらしてないみたいだったので」
『ああ、、そうか、クラブにはもう行く事もないんだ。そうだね、、さよならの挨拶もせずに終わったから、、申し訳なかった』
「さよなら?、、なのですか?」
『えッ?』
そう言う彼女に視線を向けると、目に涙の膜をはって俺をジッとみつめてくる。俺はそんな彼女が見てられなくて、思わず目を背けた。
『だって俺たちは、、気楽に会えるような関係じゃないし』
「そう、、ですか」
胸が痛い、、どうにもならない沈黙が続く。もっと優しい言い方だってあるのに、女性の扱い方なんで知らない俺は彼女を傷つけてしまったのだろうか? もう一度彼女に視線を向けるとドキッとした。
大粒の涙をぽろぽろと頬に零して俯いている彼女をとらえた。
『えッ?!、、あの、、ねぇ美子さん、どうしたんだ?!、、あの、、』
俺はすごく焦ったし、どうしたら良いのか、方法が浮かばない。
美子が両手で顔を隠して泣いていた。
『俺は、、本当は君に会いたかった』
そうだ、俺は彼女の事が気になっていた。だけど自分の立場を考えればそれ以上は言葉にすべきじゃない。