if…運命の恋 番外編Ⅰ「美しい女性」
「本当ですか、、私に会いたかったというのは?」
『うん』
「良かった。私はただ、会えなくなったのが寂しくて、、、、ごめんなさい。私ったら勝手なことを言ってますね、気になさらないでください。」
彼女は両手を振りながら頭を下げる。
『美子さん、わざわざここまで来てくれてありがとう、上手く言えないけど、、僕でよければ、時々会って話ができれば嬉しいよ』
「片瀬さん、、嬉しいです。本当にご迷惑じゃないですか?」
『来年早々に国家試験だし、卒論書いてるぐらいだ。たまに息抜きがしたくてさ、付き合ってくれたらありがたい』
「そう、お医者様の試験なんですね。ご迷惑にならない程度にお約束しても良いですか?」
『うん、、ぜひ』
ふたりは次に会える日を決めて、場所をどこにするかで話した。
『美子さんのご自宅は?』
「港区の麻布なんです」
「片瀬さんはどちらに?」
『ああ、うん大学の近くだから、この辺に下宿してるんだ』
「そうなんですね、、」
『そうだな、美子さんの家の近くにしよう。港区で目立つ場所がいいよな、、、 東京タワーの下なんてどう?』
「東京タワー?」
『そこへなら、近いかな? 歩いて行った事ある?』
「いいえ、歩きではありませんが、確かに近いと思います。」
『決まりだな。それなら、そこにしよう、、今度の日曜日の10時でいい?』
「はい、、」
美子は電車だって稀にしか乗らないようだが、良くここまできたものだと自分で感心していた。彼女は完全に箱入り娘のようで、俺の友人の言った忠告を忘れているわけじゃない。
だけど今後、二人の関係がどうなるかなんて、誰にもわかりゃしないだろ。誰かに忠告されて、関係を断つ必要があるのか?若さゆえか、自分の中に湧き上がるいろんな言い訳を理由に、俺はその日を境に彼女と待ち合わせをした。
少ない時間を使って、待ち合わせをしては、くったくのないおしゃべり
そして、俺の心は更に美子に持っていかれた。