if…運命の恋 番外編Ⅰ「美しい女性」
友人の指さした方向を見てみると誰もいない。 からかわれてる?
『オイ、、お前なぁ』
「悪い悪い、、だけど、お前ってチャレンジャーだよな。あのお嬢様と付き合ってるんだって?」
『いや、、付き合ってるわけじゃない。ただ、たまに会って、、』
「そういうのを”付き合ってる”って言うんだよ!、、で、やる事やったの?」
友人が下世話な話を持ち出して来た。こいつはこの手の話が大好物らしい。俺の返事をニコニコ顔で待つのだから。
『何を?』
「そりゃ、、あっちの事だよ、、」
『どっち?』
そう話した後で、友人が今度も俺の肩を叩きながら言って来た。
「オイ、マジか、、彼女だ」
『はぁ、、お前いい加減にしろよ』
「ホントだって! ほら、見てみ」
友人の指をさした方向に視線を向けると、そこだけ春の日差しが差し込んでいるような明るい場所になっている。美子が白いワンピース姿で立っていた。 遠目に彼女に視線を送る男子学生がうざい。
俺は、なんというか、そんな美子をみんなに見られるのがたまらなく嫌で慌てて彼女の傍に行った。
「片瀬さん、遅くなってしまったかしら?」
『いいや、、こっちにどうぞ』
俺はそう言うと、彼女の背中を軽く支えて俺たちの試合が良く見えるベンチに誘った。彼女にわけもなく密着したのは、やはり独占欲だろうか。
友人が聞いてきた内容は、交際中の恋人たちになら起こりうる行為だろうが、俺はまだ、彼女に何も伝えていない。美子を見ていると、視線が絡み可愛い笑顔が返ってきた。