if…運命の恋 番外編Ⅰ「美しい女性」
「お義母さま、ご無沙汰しておりました。お迎えありがとうございます」
「いいのよ。こうやって来てくれたんだから。感謝してるのよ。ねぇ、薫ちゃん、ありがとうねぇ」
未だに、優人にスリスリしながら、薫さんに微笑みを向ける”婆ば”ですが、
『ほら、母さん、行こうよ!優人、おいで』父親にそう言われて、優人が”婆ば”から離れようとすると、突然、”婆ば”が叫ぶのです。
「俊ちゃん!優人は私が抱っこするのッ!」
『えッ?ああ、良いけど母さん、優人は重くなったよ。大丈夫かなぁ?』
「大丈夫よッ!」
そう言いながら、優人を抱き上げる”婆ば”なのですが、「あらッ本当ね、ちょっと重くなったわねぇ」
『ほら、言っただろ?後でゆっくり座ってから抱かせてあげるから』
ちょっと、無理のようです。子供は成長が早いから無理もないのですが、優人を取り上げられると”婆ば”は仕方ないといった不満な表情をしちゃいます。そんなところで優人が言うんです。
「婆ば~お手て繋ごう」って。もうお母様は満面の笑顔です。優人、ナイスです。
車の中で、お義母さんが「お父さんも迎えに来る予定だったんだけど、大橋さんところのおじいちゃんが具合が悪くてね、仕方ないって、まぁ、今夜あえるからって諦めてたわ」
運転する俊がバックミラーを見ながら『相変わらず、忙しそうだね。はぁ、ほんと、親父を尊敬する』
初めて会った前回の福岡の実家にいた時も、お義父さまは大忙しだった。小さな医院をされているけど医師は一人だから夜に昼に、週末だって関係なく患者の対応に追われているらしくて心配したんだった。
「お父さんは、昔からああだから、薫ちゃん、気にしないで、ゆっくりしてね」
「あッ・・はい」
『今回はさぁ、渡米前に来たんだ。母さん、僕たちアメリカに行くからね』
「そう、、うん、、行っちゃうのね」